ドライブレコーダー 販売の重大な選択
資本の必要性の有無は、今後2年間を想定したものでしかない。
前提が変わると健全かどうかの判定は変わり得る。
実はストレステストが浮き彫りにしたのは、金融機関の体力差だ。
今の資本で十分な健全金融機関と、追加資本が必要な必ずしも健全でない金融機関に2極化した。
後者の経営は、先行きの経済情勢次第では不安定化しかねない。
日本は、不良債権問題への対応で金融機関に公的資金を投入する際、公表はしなかったがストレステストを実施している。
そこで金融機関の体力差が浮かび上がり、弱い金融機関の再編が進んでいった経緯がある。
政府は1998年3月に、大手銀行に公的資金を投入した。
規模も小さく、横並びだったため、効果はなかった。
その年にN信用銀行、N債権信用銀行が破綻し、国有化される。
そこで、銀行の経営実態に応じた公的資金の本格投入をすることにした。
投入にあたって各行の必要量を調べる必要があるため、金融監督庁監督部は密かに審査を実施した。
各行の優劣を明確に判定することになるので、その実施を聞いたH首相は、「和製格付けを実施するつもりか」と激怒したほどだ。
審査は信用力を判定する方法と、倒産確率を計算する方法で実施された。
信用力判定は資産査定(デューディリジエンス)に近く、倒産確率計算はストレステストに近い。
信用力判定では、判別関数として推計信用スプレッド(低いほど健全性が高い)が示され、大手のうち1%未満はT(0・5)、S(0・79)、D(0・88)、S(0・94) の4行だった。
倒産確率では1年以内倒産確率が計算され、1%未満はN(0・1)、T(0・66)、S(0・84)、M(0・92)の4行にとどまった。
その後の再編は、ここで健全とされたTM、S、S、DKが核になる。
SはSを合併し、DKはF、NKを合併し、SはTを合併する。
これは地方銀行にも当てはまり、倒産確率が高い銀行が再編の対象になった。
日本の場合、このストレステストはその後の再編処理の参考になった。
米国は公的資金の投入が批判を浴びた経緯から、その結果を公表している。
相対的に弱いのはどこかが市場にさらされており、追加自己資本が必要とされた銀行には、市場から再編圧力がかかる可能性が大きい。
とりわけ経済状況がストレステストで想定したレンジから悪化してくれば、そうした金融機関の経営状況への疑義が強まる見通しだ。
R危機に端を発した再編に次ぐ、さらなる再編の波に見舞われる可能性がある。
危機に対応して、欧米の金融当局は異常な政策対応を余儀なくされた。
中央銀行による実質的なゼロ金利政策や、国債や証券化商品を買い入れる非伝統的な金融政策。
さらには政府が民間銀行の負債を全額保護したり、公的資金を投入したりする政策だ。
しかし、それらを永久に続けることはできない。
危機が緩めば非常時体制からの出口戦略が課題になるが、そのタイミングを間違えば再び危機が深まる。
2009年第2四半期から、米国では最悪期を脱したとの見方が強まった。
R危機以降、政府・FRBが不良資産の買い取りゃ攻撃的な金融緩和を実施し、金融機関の経営に余裕が生まれたからだ。
ただ住宅価格は下落を続けており、危機自体が去ったわけではない。
日本の不良債権問題のときの対応と同じように、金融機関が抱えるリスクを政府部門に移転して、金融機関の再生を優先したにすぎない。
その結果、リスクを移転された政府、FRBの痛みは激しくなっている。
6月末時点のFRBの信用供与残高は2兆ドルと、前年同期比で1兆1000億ドル増えている。
危機対策の結果、バランスシートが倍増した。
FDICが保証している金融機関の債務はおよそ3400億ドル。
公的資金の投入に使った金融安定化法の影響で、財政も膨れ上がり、議会予算事務局によると財政赤字は国内総生産(GDP)を上回る。
これらの正常化をめざす必要が出てくる。
はじめに取り組むのは、銀行の債務に政府保証の新規付与を止めることだ。
政府保証は、R・ショック後の市場の機能麻簿対策という緊急避難措置だ。
これを続ければ、金融機関は政府保証に守られた超低金利で資金を調達でき、それで社債などを買って運用すれば自動的に利益が出る。
それが長期化すればモラルハザードが広がり、いつまで経っても正常化のめどが立たない。
次にファニーメイなど政府支援機関(GSE)の見直しだ。
危機発生以降、利用者の救済と証券化の下支えのためGSEを実質国有化して従来の役割を維持してきた。
ただ住宅価格が大幅下落しており、その実質的な損失をファニーメイ、フレディーマックなどが抱えたままだ。
GSE改革でこの損失をどう減らしていけるかが、危機の発端となった米住宅問題解決への試金石になる。
米国が注入した公的資金について、6月にはJPM・CやG・Sなどが返済した。
国に世話にならないという考えは大切だが、背景には公的資金を投入されたままだと報酬が低く抑えられることへの不満がある。
危機を引き起こしたPの、金への欲望が剥き出しになっている。
実力がないにもかかわらず公的資金を返せば、その分、資本が弱くなり、融資などに縮小圧力がかかる。
返済原資を確保するため増資に走れば、既存株主に迷惑をかける。
報酬の削減などリストラを続け内部留保を厚くして、そこから公的資金を返すことが望ましい。
長い時間がかかったが、その間に経営健全化計画で中小企業向け融資増の圧力をかけつづけた。
銀行が再び暴走するのを防ぐ必要があり、そのためには一定の期間が必要だ。
非伝統的な金融政策の出口も問題になる。
FRBは、CP、社債、ABS、国債など、さまざまな資産を抱え込んだ。
ECBは開示が不十分で、外部から健全性の判断はしにくいが、資金供給の担保に質の低い証券化商品を抱えている。
両組織とも健全性への疑念がくすぶっている。
FRBは3000億ドルの国債購入を完了し、住宅ローン担保証券と政府機関債の購入も2010年3月に終える方向だ。
またECBは、資産悪化につながりかねない量的金融緩和には慎重で、7月には期間1年の長めのオべによって資金供給することで金融安定を保つ姿勢を見せている。
危機対応で買い入れた国債などが膨れ上がっているものの、その解消にまで動くのは難しい。
解消を急ぐと長期金利に上昇圧力がかかり、経済は再び悪化しかねない。
経済が正常化するまでは、中央銀行が国債を保有しつづけることで長期金利の安全弁の役割を果たす必要がある。
またFRB、ECB共、危機回避のために積極的に政策金利を下げ、米国は実質的にゼロ金利政策を取っている。
強いインフレ懸念はないのに加え、実体経済の悪化が著しいため、当面、超低金利を維持する構えだ。
ただ米国では、地区連銀の総裁などからしばしばインフレを懸念する声が発せられる。
内部では、金利政策をもがれたゼロ金利からの脱出はできるだけ早くとの考えが強い。
R・ショックによる急激な景気の落ち込みが止まった。
国によっては経済成長が、四半期ベースでは前期比でプラスに転じている。
しかし景気循環の方向性だけ見て金利を上げ始めると、経済に下押し圧力がかかり、結果的に景気が本格回復軌道に乗らない可能性が大きい。
出口政策に関しては日本が反面教師である。
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